釧路川と台風

屈斜路湖畔の倒木

8月の台風襲来で弟子屈町も木が倒れるなど,少なからず被害がありました.画像は屈斜路湖畔で木が倒れた様子です.今回はこのように根こそぎ倒れた木が多くありました.降り続く雨で地盤が緩んでいたところに強風が吹いたためだと思います.倒木の後始末はまだしばらくかかりそうです.

北見地方や十勝地方では河川の氾濫で大きな被害となっています.お見舞い申し上げます.弟子屈町を流れる釧路川は,幸い氾濫することはありませんでした.ただJR釧網線は塘路湖付近で線路の一部が冠水しているようで,ずっと運休したままです.より深刻なのは根室線で,橋が流されて復旧のめどが立たないということですから心配です.農業はもちろんのこと,物流が止まることによる経済全般への影響もこれから長期間続くものと思われます.

さて釧路川ですが,弟子屈町のある上流部は今回の大雨でもわかりましたが,極端な水位の上昇は無く,氾濫しにくいです.もっともこれまでに大規模な河川改修工事がなされてきた成果でもあるのですが.

私が生まれ育った家は釧路川のほとりにありました.窓を開けると川の流れる音がいつも聞こえました.川は大きく蛇行し,護岸も自然のままでした.大雨が降ると町外れではしばしば川が氾濫していました.しかし,河川改修工事が始まり,その家も取りこわしになったのが中学生の頃と記憶しています.実はその家があったあたりが,北海道開発局のライブカメラで見ることが出来ます.

ご覧のとおり立派な護岸がなされています.大道開発の社屋もこのすぐ近くで,私の座っている席の窓からもこの護岸が見えています.ある意味,人工的になりすぎて風情が無くなってしまったとも思えますが,水害を被ることを考えたらそんなことは言ってられません.

釧路川源流部

釧路川は日本最大のカルデラ湖屈斜路湖を起源とします.こちらがその源流部です.ある意味,屈斜路湖が緩衝地帯となり水位が一気に上がるのを防いでいるのかもしれません.
屈斜路湖の湖水は標高が120m,弟子屈町市街で100mですので,ここまでの80kmはゆるゆると流れていることになります.しかし,ここから標茶町市街までに一気に流れ落ちます.私の住む熊牛原野付近で標高50m,標茶町市街で30mですので,距離30kmの間に70mもの落差です.

釧路川橋から釧路川

これは熊牛原野にある釧路川橋で8月22日に撮影した画像です.台風の大雨が降るさなかですので,増水して濁流となっていますが,普段からこのあたりはかなりの急流です.釧路川は標茶を過ぎたあたりから釧路湿原の広い低湿地に入り,さらに集水面積が大きくなり,最後は釧路市街を通って太平洋に流れ込みます.結局,釧路川流域でもっとも災害の危険性が高いのは河口近くの釧路市街部です.今回はさほど目立った被害が無く,幸いでした.
温暖化の影響でしょうか,変則的な天候が増えつつあるように思います.元々,夏の台風にはあまり縁の無かった道東地方ですが,こんな年もあるのですから,油断なく準備が必要だということをあらためて感じています.