変わりゆく川湯温泉

今回は川湯温泉の源泉付き物件のご紹介です。建物の無い更地で、温泉源があるという物件です。場所は川湯温泉でも一番北のほう、屈斜路湖寄りのところです。かつてはお土産物屋さんなどの建物がありましたが、すでに撤去済みです。下の画像はまだ雪の無い昨年10月末の画像です。

敷地全景東側から
敷地全景西側から

川湯温泉の泉質は強酸性の硫黄泉で、かなり特殊な温泉です。pH(ペーハー)が1.6~1.9で、身体に傷があるとビリビリと痛みを感じます。ただ、殺菌作用があるので、傷の治りは早くなると言われています。傷があってあのビリビリに耐えられる人はそう多くないようにも思いますが。とにかく個性的な温泉なので、とても人気があります。その歴史は古く、明治19年(1886年)に最初の温泉宿が出来たそうです。

そんな川湯温泉ですが、温泉源の付いた物件が売りに出ることは極めてまれです。というのも川湯温泉のある地域は「温泉保護地域」に指定されていて、原則的に新規の掘削ができません。過去に掘削が増えて、温泉資源の枯渇が心配されたのでしょう。温泉の掘削は行政の許可が必要ですが、現在は新たな掘削の許可が下りない地域なのです。そのようなわけで既存の温泉源を持った温泉宿が売買されない限り、川湯の温泉源が売買されることはありませんでした。

さて、川湯温泉は今、過渡期にあります。川湯温泉が一番活況だったのは、昭和50年代から60年代の頃でしょうか。おそらく大小合わせて20軒近い温泉宿やホテルがあったと思います。その頃はまだ団体旅行が盛んで、会社だったり地域の寄り合いだったり、各種団体が大型バスでやって来て、ドンチャンと宴会をして温泉につかるという旅行をしていました。しかし時代が昭和から平成・令和になり、人々はそうした団体旅行をしなくなっていきました。日本中の温泉街で、大型の旅館・ホテルは客足が遠のき、閉館に追い込まれるところが増えていきましたが、川湯温泉も同様でした。営業を続けている宿は数軒になり、多くの建物が閉館した後も取り壊されることも無く、ただ荒廃して寂しい光景となっていました。


転機が訪れたのが、弟子屈町が環境省の国立公園を整備する補助事業を活用することになったことでした。3年前からは廃墟となった大型ホテルを次々解体撤去し始めたのです。そしてその跡地にあの星野リゾートが宿泊事業を展開することが2023年に発表されたのです。
これまで衰退しつつある温泉街を復活させてきた実績を持つ星野リゾートさんが川湯温泉に来てくれるということですから、いやが上にも期待は膨らみます。これを契機に川湯温泉はもちろんのこと、弟子屈町全体の経済が盛り上がっていってくれたらと願っています。

廃業ホテルの解体跡地

建物の撤去が済んだ跡地の様子がこちらです。星野リゾートの宿泊施設だけでなく、公園として整備される計画になっています。

さて、今回は敷地内にある井戸から温泉を出してみることにしました。温泉井の中にエア管を入れてコンプレッサーで圧縮空気を送り込むと温泉が噴き出てくるエアリフトという方法です。水中ポンプを入れるのと違って、簡単な段取りで温泉を出すことができます。
やってみると、コンプレッサーを作動させた直後から水が噴き出てきました。静水位がほとんど地面近くまであることがわかります。温度もすぐに上昇しました。51度のお湯がおよそ75リットル毎分出てきました。川湯温泉のお湯独特の硫黄の匂いがします。強酸性で硫黄を含んだ温泉といえば、青森県の酸ヶ湯温泉と群馬県の草津温泉に私は行ったことがありますが、川湯温泉が一番硫黄の匂いが強いように思います。

温泉の揚湯

どちらかというと一般向けというよりはビジネス向けの物件かと思います。最初にも記しましたが、川湯温泉の温泉源付き物件はとても珍しいですし、今回は建物が除去済みの更地で、解体費用なども不要です。詳しい情報はこちら物件番号721からご覧ください。